女性マーケティングとは?購買行動から見る“これまで”と“これから”

女性マーケティングとは、女性をターゲットにした商品やサービスを、女性の視点や価値観に寄り添って届ける考え方です。
購買行動の違いやライフスタイルに注目した手法は、多くの企業で成果を上げてきました。
ただ、その一方で、少し立ち止まって考えたくなる場面も増えてきているように感じます。
この記事では、女性マーケティングのこれまでとこれからを社会背景とともに整理していきます。

目次

女性マーケティングとは?女性中心の購買行動と社会の変化

女性マーケティングという言葉は、いまや多くの企業やメディアで使われています。
しかし、その意味や背景についてはご存知でしょうか?
そこには購買行動の違いだけでなく、社会構造や価値観の変化が大きく関係しています。
まずは基本となる考え方から整理していきましょう。

男女の購買行動の違い

一般的な調査やマーケティング研究の中では、男性は目的や機能を基準に比較的短時間で判断し、女性は情報収集や検討のプロセスを重視する傾向があると語られてきました。
また、価格や性能だけでなく、その商品が生まれた背景や使われるシーン、他者の体験談なども判断材料に含めることが多いのが特徴です。

こうした違いは個人差が大きいものの、マーケティング戦略を考えるうえで“傾向”としては「女性にその傾向が強い」という判断でデータが蓄積され、女性向け施策が独自に発展していく土台となってきました。

女性の購買行動の特徴

女性の購買行動の傾向で特徴的なのは、「買う・買わない」という結果だけでなく、そこに至るまでのプロセスが重視される点です。
検討段階で多くの情報に触れ、口コミやレビュー、周囲の意見を参考にしながら、自分の生活や価値観に合うかどうかを確かめていきます。

また、自分一人のためだけでなく、家族や身近な人への影響を考えて選択する場面も少なくありません。
そのため 女性マーケティングでは、商品の性能だけでなく、「それが日常の中でどう使われ、どんな気持ちで付き合っていけるのか」という文脈が重視されてきました。
これは感覚的な選択ではなく、生活全体を見渡したうえでの合理的な判断だと考えられます。

女性マーケティングの事例

① スキンケア商品
「保湿成分◯%配合」と説明するよりも、「忙しい朝でも、これ一つで肌が整う」と伝えたほうが、自分の生活に置き換えて想像しやすくなります。

② 健康食品・サプリ
「毎日欠かさず続けると効果的」という訴求より、「少しずつ取り入れることからスタートしましょう」という語りのほうが、無理なく続けられるイメージを持ちやすくなります。

③ 家電・生活用品
性能や価格だけでなく、「夜でも音を気にせず使える」や「掃除が簡単」といった説明を入れることで、生活の中での使われ方が具体的に想像しやすくなります。

これまで成果を出してきた女性マーケティングの手法

こうした購買行動の特徴を踏まえ、これまで女性マーケティングではいくつかの手法が成果を上げてきました。
代表的なのが、共感を軸にしたストーリー設計や、実際の利用シーンを想起させるコンテンツです。

商品説明よりも体験談を前面に出した広告や、生活の延長線上に自然と商品を置く表現は、多くの女性に受け入れられてきました。
また、「寄り添う」や「理解する」といった姿勢を打ち出すことで、ブランドと消費者の心理的距離を縮める試みも増えていきました。
これらの手法は、確かに一定の成果を生み、女性マーケティングを広く定着させる役割を果たしてきたのです。

なぜ女性は「特別なターゲット」になったのか

女性がマーケティングの中心に置かれるようになった背景には、購買行動の特徴だけでは説明しきれない社会的な変化があります。
消費の意思決定構造や働き方、家庭内での役割が変わる中で、女性の存在は生活だけでなく社会全体に影響を与える存在として捉えられるようになりました。
ここでは、その変化をもう少し具体的に見ていきます。

女性が消費の中心!?

多くの業界で「女性が消費の中心を担っている」と言われるようになったのは、家計や日常消費の意思決定に女性が深く関わってきた歴史が背景にあります。
食品や日用品、教育、医療など、生活に密接した分野では、自分自身のための消費に加え、家族やパートナー、子どものことを考えた選択を行う場面も多く、歴史的・社会的な役割分担の影響から、女性が購入判断に深く関わってきたケースが多く見られました。

例えば、このような心当たりはあるでしょうか?
日用品1つ買うことに対しても、男性は家で使用する日用品を細かく把握している事が少なく「トイレットペーパーはダブル?シングル?」といった細かな判断までも女性が担っていることが多いように感じます。
こうした状況から、女性は「購買量が多い存在」というだけでなく、「生活全体の選択を左右する存在」として、マーケティング上で注目されるようになったのです。

女性活躍が言われ始めた社会の流れ

2000年代以降、女性の社会進出や就業継続を後押しする動きが強まり、「女性活躍」という言葉が広く使われるようになりました
働き方の多様化や制度整備が進み、女性が自らの意思で働き方や生き方を選ぶ機会は確実に増えています。

それに伴い、働き方や家計のあり方が変化し、収入や支出について“自分で判断できる範囲”が広がった女性層も増えていきました。
この変化は、単に労働市場の話にとどまらず、消費のあり方や価値観にも影響を与えています。
マーケティングにおいて女性が重視されるようになったのは、こうした社会全体の流れも後押ししていると考えられます。

女性がマーケティング上で重要になった理由

女性がマーケティング上で重要視されるようになった理由は、購買力の増加だけではありません
情報収集の丁寧さや口コミの共有、SNSを通じた発信力など、女性の行動は商品やブランドの評価を周囲に広げる力を持っていました。

また、自分の価値観やライフスタイルに合うかどうかを基準に選択する姿勢は、ブランドとの関係性を重視するマーケティング手法と相性が良かったとも言えます。
こうした特徴が積み重なった結果、女性は「売りやすい相手」というより、マーケティングの考え方そのものを組み立てる基準として見られるようになっていきました。

女性がマーケティング上で重要な存在とされてきた背景

(背景1)生活に密接した消費の判断に、女性が深く関わってきた歴史がある

(背景2)社会構造の変化により、消費や選択の自由度を持つ女性層が広がった

(背景3)女性に多い「情報収集」や「共有」の習慣を通じて、商品やブランドの評価が広がりやすかった

⇒ 女性は「売る対象」ではなく、マーケティングの前提を形づくる存在に

ここ数年の女性マーケティングの変化

女性マーケティングは、長い時間をかけて洗練されてきました。
共感や寄り添いといった表現は一般化し、手法としては成熟しているようにも見えます。

しかし近年、その「うまくいっているはずのやり方」に、説明しきれない違和感を覚える場面も増えてきました。
ここでは、ここ数年で起きている変化と、その背景を整理していきます。

女性マーケティングは「誰のため」に語られてきたのか

これまでの女性マーケティングは、「女性にどう伝えるか」という視点で多く語られてきました
女性の悩みや不安に寄り添い、気持ちを代弁するような表現は、多くの支持を集めてきたのも事実です。

一方で、その語りは次第に「女性とはこういう存在だ」という前提を強めていった側面もあります。
誰かの経験を一般化し、分かりやすい言葉に落とし込むことで、多くの人に届きやすくなった反面、そこからこぼれ落ちる感覚も生まれてきました。
女性マーケティングは、いつの間にか「女性のため」というより、「分かりやすく伝えるため」に最適化されてきたのかもしれません。

「共感」が当たり前になったことで起きたこと

「共感」は、女性マーケティングにおいて長く重要なキーワードでした。
分かってもらえたと感じることは安心につながり、商品やブランドとの距離を縮める役割を果たしてきました

しかし、共感が前提になることで「共感できる感情」だけが可視化されやすくなった側面もあります。
本当はうまく言葉にできない迷いや、前向きになれない状態は、当たり前に起こる現象なのにも関わらず、公には語られにくくなっていきました
その結果として、共感のはずが「こう感じるべき」という無言の期待に変わり、受け取る側に疲れを生むケースも見られるようになっているのが現状ではないでしょうか。

それでも残る、言語化しきれない違和感

共感も寄り添いも、決して間違った考え方ではありません。
しかし、そんななかでも「何かが少し合わない」と感じる瞬間があるのはなぜでしょうか?

それは、消費者自身が変わってきているからかもしれません。
生き方や価値観が多様化する中で、誰かの言葉に完全に当てはまらない感覚を持つ人が増えています。

「前向きでなくてもいい」、「答えが出なくてもいい」という状態を、そのまま置いておける場所は、まだ多くありません
この言語化しきれない違和感こそが、次の女性マーケティングを考えるヒントになりそうです。

まとめ|女性マーケティングを「前提」から見直す

女性マーケティングは、女性の購買行動の特徴や社会構造の変化を背景に発展してきました。
そして、意思決定の自由度が広がったことにより、女性はマーケティングの中心的な存在として扱われるようになったのです。

しかし一方で、共感や寄り添いといった手法が一般化した現在、その語られ方に違和感を覚える場面も増えてきました。
“女性のため”とされてきたマーケティングは、本当に今の女性たちの感覚や変化と噛み合っているのでしょうか?

次の記事では、こうした違和感の正体をより具体的に掘り下げながら、共感マーケティングが抱える課題について考えていきます。


私たちドラマクラフトは、これからのマーケティング思想を実際の形として表現する方法の一つとして、YouTubeドラマ企画 「She is me(仮)」を考えています。
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