【2025年版】縦型ショートドラマ市場の注目トレンドと業界動向まとめ

2025年、SNSマーケティングの中心は「縦型ショートドラマ」となってきました。
YouTubeショートやTikTok、Instagramのリール動画の普及により、縦型映像は広告市場を席巻しています。
本記事では最新データとトレンドをもとに、縦型ショートドラマ市場の“今”と“これから”をわかりやすく解説します。

縦型ショートドラマ市場の現状と成長データ

2025年、縦型ショートドラマは“ブーム”ではなく、確かな市場トレンドとして定着しつつあります。
動画広告市場の急拡大、SNSの進化、そしてユーザーの「物語を感じたい」という欲求。
そのすべてが重なり、映像を通じた共感発信が当たり前の時代になってきました。
まずは、数字が語る最新の市場動向を見ていきましょう。

動画広告市場は2024年に約7,000億円を突破

2024年、日本の動画広告市場はついに7,000億円を突破（前年比115.9％）しました。
なかでもスマホ向け広告は約5,750億円を占め、広告全体の主役になり、横型から縦型へ、そして“テレビからSNSへ”という流れが加速しています。

2024年の動画広告市場規模は、昨年対比115.9％となる7,249億円と順調な成長を遂げました。
スマートフォン向け動画広告需要は昨年対比113.9％の5,750億円にのぼり、動画広告需要全体の79％を占めています。

引用元：サイバーエージェント、2024年国内動画広告の市場調査を実施

動画広告の勢いは、もはや一時的なブームではありません。
TikTokやYouTubeショート、Instagramのリール動画など、「縦型で魅せる発信」が企業ブランディングの中心になってきました。
そんな数字の裏側にあるのは、“映像でブランドを体験する時代”の到来だと言えそうです。

縦型ショート動画の急伸でSNS市場が活性化

ここ数年、TikTok・YouTubeショートをはじめとする縦型動画プラットフォームがSNSの主役に躍り出ました。
Meta社の2025年Q1決算資料によると、世界全体の広告表示回数（Ad Impressions）は前年同期比+5％と安定的に増加。
中でもアジア太平洋地域では+9％と高い伸びを示し、SNS広告の中心地として存在感を強めています。

引用元：Meta Earnings Presentation  Q1 202

これは、AIによるレコメンデーション最適化が進み、ユーザーの視聴体験がより“パーソナライズ”された結果、縦型動画広告の滞在率と広告価値が共に向上していることを示しています。
AIがユーザーの好みを学習し、最適な動画を表示することで、視聴完了率や滞在時間が伸び、広告効果が全体的に高まったということです。

また、この国際的な成長トレンドの裏では、日本でも「インターネット広告の絶対量拡大」が鮮明となりました。
電通の「2024年 日本の広告費」レポートによれば、総広告費は 7兆6,730億円（前年比104.9％）に達し、インターネット広告費は 3兆6,517億円（前年比109.6％）と、広告市場のほぼ半分を占めるまでに拡大したとのことです。

さらに、インターネット広告媒体費（動画広告を含むSNS縦型動画広告の成長を反映した部分）は 2兆9,611億円（前年比110.2％） と報告されています。

動画広告を中心に成長し、総広告費に占める構成比は47.6％に達した。内訳について、「インターネット広告媒体費」は、2兆9,611億円（前年比110.2%）と二桁成長となった。
　マスコミ四媒体由来のデジタル広告費における「テレビメディア関連動画広告費」は、653億円（同147.4%）となり前年に続き高い成長を示した。「物販系ECプラットフォーム広告費」は、オンライン通販の拡大もあり、2,172億円（同103.4%）へと増加した。「インターネット広告制作費」は、動画広告市場の拡大などにより、4,734億円（同108.6%）へと増加した。

引用元：2024年 日本の広告費　dentsu

これらのデータを踏まえると、Meta社の広告表示回数の拡大動向と、日本国内のデジタル広告費の拡大という両輪が、縦型ショート動画市場の成長基盤を支えていることを証明していると言えます。
つまり、世界の広告枠拡大と日本国内の広告投資のシフトが重なり合うことで、縦型ショート動画は今、この瞬間に “見逃せない成長市場” になっているのです。

SNS広告の中でも視聴者に人気な「ドラマ構成型動画」

最近特に、SNS広告の中でも特に人気を集めているのが「ドラマ構成型動画」です。
クリエイター集団「ごっこ倶楽部」は、2025年9月時点でSNS総フォロワー数は560万人を突破し、累計再生回数は100億回超という実績を持っています。

2021年に結成された『ごっこ倶楽部』は、TikTokを起点にショートドラマ市場を切り拓いてきました。結成から4年で累計再生数100億回／SNS総フォロワー560万人を達成し、日本における「縦型ショートドラマ」を代表する存在のひとつとして認知されるまでになりました。

引用元：ごっこ倶楽部、再生数100億回突破｜テレビ離れ世代が熱狂する“縦型ショートドラマ”が企業マーケティングを変える

このような規模感を持つアカウントがドラマ構成型動画で次々とバズを生んでいることは、視聴者から“物語形式の動画”が支持されている証と言えます。
特に、ショートドラマ形式は広告感を抑えつつブランドやストーリーを自然に伝えられるため、フォロワー数・再生数という“人気性”の指標でも成果を示しているのです。

今注目されるトレンド3選【2025年版】

縦型ショートドラマの市場拡大に伴い、企業のSNS活用にも新たな潮流が生まれています。
採用広報・商品PR・映像制作の現場では、「共感」や「物語性」を軸にしたアプローチが次々と進化中。
ここでは、2025年に特に注目されている3つのトレンドをピックアップし、実際にどんな変化が起きているのかを見ていきましょう。

①AI編集ツールの普及で制作コストが1/3に

映像制作のハードルを下げているのが、AIを活用した編集・構成ツールの進化です。
自動カット、BGM選定、字幕生成などが一括で行えるツールが普及し、制作コストは従来の約1/3まで低下。
さらに、生成AIが構成案やセリフを提案することで、編集チームのクリエイティブ作業に集中できるようになっています。

SNS運用代行会社でも「企画〜撮影〜運用」をワンストップで請け負う事例が増加し、中小企業でも高品質な映像発信が可能に。
“AI×人の共創”が、次世代の動画制作スタンダードを築きつつあります。

②商品PRから「共感ストーリー」型へシフト

従来の「機能を説明するだけの広告」では、ユーザーの心を動かすことは難しくなっています。
今、企業が成果を上げているのは“モノではなく物語を売る”共感ストーリー型PRです。
実際に「洋服の青山」では「アオドラッ」というショートドラマを展開して話題を呼んでいます。

@aoyama_official

＼ドラマ、ついにスタート／ スーツも恋も、仕事も 全部まるっと詰めこんだ、 ちょっぴりシュールなオフィスドラマ。 部長の謎行動に、蒼子のクーポン事件！？ クセ強めなオフィスメンバーでお届け！ 【アオドラッ 第1話】配信開始💼🎬 【出演】 ・松川星 @akarin__rin ・渋木稜 @ryoshibuki ・サイホージン #アオドラッ #クセ強オフィス #オフィスドラマ #蒼子#白田 #部長 #洋服の青山

♬ オリジナル楽曲 – 洋服の青山【公式】 – 洋服の青山【公式】

アパレルや美容、食品業界では、創業ストーリーや開発秘話などをショートドラマ形式で発信することで、ブランドへの愛着（ファン化）が進行しています。
そして、広告感を抑えた演出が自然な拡散を生み、購買率・保存率ともに高まる傾向にあるのです。
SNS上で“心に残る体験”を提供することこそ、これからのPRの鍵です。

③採用広報で“共感採用”が加速

採用シーンでは、社員を主人公にした縦型ショートドラマが今後より注目を集めていくでしょう。
企業が掲げる理念やカルチャーを“映像の物語”として伝えることで、応募者の共感と信頼を得やすくなっているのです。

実際に、「採用 × ショートドラマ」をサービス化する制作会社も出てくるようになりました。
Z世代を中心に「どんな人が働いているか」を重視する流れが強まる今、採用広報の主戦場は文字から映像へと移行しています。

業界別に見る縦型ショートドラマの導入動向

縦型ショートドラマの導入は、採用・PR・地域発信など、あらゆる分野に拡大しています。
「誰が、どんな想いで動いているか」を映像で伝えることで、共感が“行動”に変わる。
ここでは、業界別に見る最新の導入事例と、その背景にある戦略的変化をひも解きます。

採用・人材業界

人材業界、特に採用広報では、社員のリアルな日常や価値観を縦型ショートドラマ風に見せる手法が増えています。
こうした手法は、テキストや写真だけでは伝わりにくい“会社らしさ”や“温度感”を視覚で補完する役割を担います。
特に若年層・就活世代では、「どんな人が働いているか」「文化が合うかどうか」に敏感であるため、物語形式の透明性のある映像がスタンダードになりつつあります。

採用広報では、ストーリー性を持たせた動画を活用することで、応募者との心理的距離を縮め、応募率・内定辞退率の改善につなげやすくなっています。

美容・アパレル業界

美容・アパレル業界では、ブランドの世界観を伝えるために、モデル・スタッフの日常や商品開発秘話をドラマチックに描く縦型動画が有効です。
単に商品を見せるだけでなく、「なぜこの商品をつくったか」「誰にどんな背景があるか」という物語バックグラウンドを伝えて、ブランドファン化を促す手法が増加しています。
このアプローチは、広告らしさを抑えつつ自然にブランド認知・信頼を育むことができ、拡散性も高められることが多いです。

さらに、制作コストの低下や更新頻度の向上により、定期的にストーリーを紡ぐ運用型コンテンツ化も加速。
今後、美容・アパレル企業では「物語で魅せる縦型ショートドラマ」が広告軸のひとつとなるでしょう。

教育・スクール業界

教育機関やスクールでは、講師メッセージ・授業風景・受講生の声などをストーリー性を持たせた形式で伝える縦型短尺動画の導入が進んでいます。
講師の“背景”や“思い”をドラマ風に演出することで、スクールの信頼感・親近感を視聴者に感じてもらいやすくなります。
この手法は、入校への心理ハードルを下げるだけでなく、受講後のミスマッチを減らす効果も期待できます。

また、短尺動画は視聴コストも低いため、スクール側としても予算・手間を抑えつつ“顔の見える教育”を提供しやすいのがメリットです。
今後、教育分野でも“ストーリーで伝える”スタイルが、マーケティング手法の主流のひとつになる可能性が高いです。

@ogakijpc

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自治体・地域活性化

地方自治体・観光協会において、縦型ショートドラマを使った地域プロモーションが急増しています。
実際、群馬県は TikTok を活用し、視聴者からドラマのタイトルや一言目のセリフを募集し、地域PRショートドラマを制作するプロジェクトを実施しています。

本プロジェクトでは、TikTokのティザー動画で一般視聴者から「ドラマのタイトル」と「一言目のセリフ」を募集し、ショートドラマを制作します。
一般視聴者から募集したコメントは、SNSで4億回再生されているショートドラマ『ドラマみたいだ』も手掛けるSNS総フォロワー27万人のクリエイター「イケメンズ（改名予定あり）」のくぼけんが脚本を手掛け、視聴者のアイデアをショートドラマに昇華しています。

引用元：群馬県公式TikTok「tsulunos」で視聴者参加型のショートドラマが1/21（火）から順次公開

また、47都道府県自治体を絡めた「地域 × 縦型ショートドラマ」の上映イベントも開催されるなど、地域連携型作品への関心も高まっています。
自治体PR動画の編集・物語性表現では、「観光地」や「移住」「地域文化」を物語形式で描くことで、住民や旅行者への共感を呼び起こす狙いがあります。
地域活性化を目的とする自治体は、従来の観光PR動画を超えて、物語性を持たせた映像を使って、地域と人との「共鳴関係」を築こうとしています。

主要業界別 縦型ショートドラマ導入目的と成果▼

業界	活用目的	成果・傾向
採用・人材	社員紹介・共感採用	応募率UP、離職率低下
美容・アパレル	ブランド訴求	SNS流入増、売上UP
教育・スクール	授業・講師紹介	信頼度UP、申込率増
自治体・地域活性	観光・移住PR	地域認知度・交流拡大

2025年の広告プラットフォーム動向

縦型ショートドラマを成功に導くには、どのプラットフォームで、どんな体験を届けるかが鍵になります。
2025年のSNS市場では、YouTubeショート・TikTok・Instagramのリール動画がそれぞれ異なる進化を遂げ、企業の目的やターゲットによって最適な戦略が分かれています。
ここでは、主要3プラットフォームの最新動向と、今押さえておきたい活用のポイントを整理します。

YouTubeショートがBtoB市場に進出

かつて“エンタメ中心”と見られていたYouTubeショートが、今やBtoBブランディングの新たな主戦場になっています。
採用・企業紹介・製品説明など、企業の信頼構築に直結するテーマでの活用が増加。
特に「社長メッセージ」や「現場社員インタビュー」など、“顔の見えるコンテンツ”が好評です。

Google検索との親和性が高く、「社名＋採用」などのキーワードで上位表示されやすい点も強みです。
短尺で信頼を築く“ビジネス型ショート動画”として、企業の動画資産戦略に欠かせない存在となりつつあります。

TikTokは“広告らしさゼロ”が主流

TikTokでは、「いかに広告に見せないか」が成果を左右します。
企業アカウントの成功事例に共通するのは、トレンド音源や日常のワンシーンを活かした“自然な物語づくり”。
近年は、若手社員を主人公にした採用動画や、リアルな開発現場を描く商品PRが人気を集めています。

TikTok特有のリミックス文化（視聴者参加型編集）によって、企業とユーザーの距離が縮まり、共創型ブランディングが進化しています。
「広告を出す」よりも「関係を育てる」、TikTokはそんな新しい企業発信の場に変わっています。

Instagramのリールはブランディングに最適化

Instagramのリール動画は、世界観を伝える“ビジュアルブランディング”の要として定着しています。
特に、美容・ファッション・ライフスタイル業界では、トーンを統一した“ブランド映画のような短尺演出”が支持され、感性価値の高いユーザー層にリーチしやすいのが特徴です。

また、フィード投稿やストーリーズとの連携で導線設計もしやすく、ファンとの関係構築にも最適です。
2025年は、リールを軸に「ブランドの“美意識”を映像化する」動きが本格化しており、SNSブランディングの中核を担う存在となっています。

まとめ

2025年、縦型ショートドラマはもはや一時的なブームではなく、企業ブランディングの新たな基盤となりつつあります。
採用・商品PR・地域活性など、さまざまな業界で“共感で伝える”手法が主流化。
YouTubeショート・TikTok・Instagramのリール動画といった主要SNSも進化を続け、企業が「どこで」「誰に」「どう物語を届けるか」が問われる時代に入りました。

映像は、伝えるものから共に感じる体験へ。
この変化を捉えた企業こそが、これからの市場で選ばれていく存在になるでしょう。

弊社では、縦型ショートドラマを使ったPRをはじめ、様々な面からのアプローチについてもアドバイスさせていただいております。
気になる方は、ぜひお問い合わせください。

ちなみに、2026年の動向についても予測記事を書いているので、よろしければぜひお読みくださいね！